うまなりの馬なりブログ

競走馬のベテラン厩務員が教える馬ブログ

どんなに懐いている馬でも

長く担当していて、どんなに懐いてる担当馬でも、結局はニンジン持って歩いている人が前を通ったら、今触れ合ってる担当者を押し退けて催促しに行くので、俺たちの絆は何だったんだとなって悲しくなります

なので、こちらも負けじとニンジンを用意するのは実は馬側の思うツボなんですね

わかっててもやってしまうんですよ!

トレセンの病院

栗東トレセンには病院が2つあります。もちろん1つは馬用の病院で、最新鋭の設備も整った病院で治療場または診療所って呼んでます


もう一つは栗東診療所と言って一般の人も受診できる病院です。馬と違って入院できる設備はないですが、設備の整ったそれなりに大きな病院です。馬の診療所と区別するために「人診」(ひとしん)って呼んでます


馬診って言わずにわざわざ人用の診療所って区別するところがトレセンらしいですよね

 

ちなみにトレセン専用の病院と思われているのか比較的空いていることが多いです

滋賀医大からお医者さんが来てくれますので穴場的病院です♪

 

引退後の馬を

自分が担当した馬を引退後どうなったか追いかけてはいけないのがこの業界の暗黙のルールですがそれでも気にしてしまいます
SNSで元担当馬が乗馬で可愛がられてるって知った時は本当に嬉しかったです。誰とは言わないけどいつもチェックしています

気軽に行ける距離ではないのでまだ会えてないですがいつか会いに行きたい
馬を可愛がってくれて大事にしてくれてありがとうって伝えたい

トレセンに棲んでる猫

トレセンの中にも猫はよく見かけますが、馬は特に気にすることはありません

もちろん、猫が暴れたり急に飛び出したりしてびっくりすることはありますがパニックになるようなことはないです

 

馬が猫を気にしないのは、ほとんどの牧場がネズミ対策に猫を飼っているので慣れているのでしょうね。ちなみに馬関係者も猫好きが多いですね🐈


トレセンの中で見かけるし猫は、厩舎で飼ってるのや、元々野良猫がトレセンに住み着いたりしてエサだけ貰ってる地域猫みたいな半野良が多いです


やはり馬も猫を見て怖がらないし特に害もないので誰も猫を追い出したりしないですし、猫嫌いな人も見て見ぬふりする人がほとんどです

この仕事をしてるくらいですから動物好きの人が多い職場なので動物には寛容な場所ですね


猫のいる厩舎はネズミやGが少ないと言われてます

 

 

 

サラブレッドの赤ちゃん

サラブレッドの生まれたての赤ちゃんは50㎏くらいしかなくて胸囲も80㎝くらいなので両手で抱えられるくらい小さいんです

大型犬くらいの大きさしかないのでめっちゃ可愛いです
でも生まれたての赤ちゃんは成長も早くて、1週間で10㎏ずつくらい増えていって1ヶ月で約100㎏胸囲も100㎝越えてもう抱っこ(生まれたての赤ちゃんでも抱っこはしたことないですよ😅)なんてできないくらい成長が早いんです

赤ちゃんの時期って本当に短いです
トレセンに入厩する馬はもう大きくて立派な馬ですが、ふとした時にこの馬たちも最初は小さな赤ちゃんの頃があったんだなぁって思うときがあります

 

ゲート試験

全ての競走馬においてまずゲート試験に合格しなければ競馬に出走することはできません。競馬場でレースに出ている馬はゲート練習を経て試験で合格しています。

 

普段は競馬以外でゲートから全力で出して追うことはまずやりませんが例外はゲート試験です。
試験の名の通り試験官もいて競馬と同じようにゲートを出して2Fほど追います。新馬の場合は2回続けて発馬を行い、従順に入ることや・ゲート内で大人しく待っていること、スムーズに発馬することを審査されます。

 

ゲート試験は馬にとってストレスなことが多いので合格後は一度リフレッシュのために放牧に出されることが多いですね

 

試験なので馬だけでなく人にとってもプレッシャーで緊張するので受けるのを嫌いな人も多いですが、自分にとってはジョッキー以外で唯一競馬を擬似体験できる機会。緊張するけどどちらかと言うと楽しみの方が大きくてワクワクします

 

正直成績の悪い馬を担当するのは?

ほとんどの厩舎は担当馬制で担当馬の競馬の成績で歩合を支給されるスタイルです
自分の担当馬の競馬の成績によって報酬が変動するので、みんな本音は走る馬を担当したいです

ではだからと言って成績の悪い馬が担当になるとやる気がなくなるかと言うと面白いことに逆に俺の腕で走らせてやると燃える人がほとんどです

口では嫌そうなことを言いますが、腕の見せどころと思ってます

例えばですけど、走る馬を担当させてくれるのは嬉しいですが、自分が担当したから走った馬を担当したいってことです。ちょっとややこしいニュアンスですが💦
確かに稼ぎが下がるのは辛いですが、多くの厩舎は担当者の歩合の一部をプールして全従業員で均等に配分したり、馬の入れ替えを多くして担当馬を偏らないように配慮されたりしています

なので現実的にもどんな馬でもモチベーションが低いことはあまりありません