夏を感じる意外なもの
そろそろ夏競馬の準備をと言うと、流石にまだ早いでしょ?となりますが
トレセンでは夏競馬は函館開催が始まると夏競馬の開幕なのでもう来月には始まる予定になります
それでもまだ早いと思うかもしれませんが、函館競馬場には5月の終わりから入厩できますので、早い厩舎はもうその入厩に向けて競馬や入厩検疫の予定を立てますのでそろそろ準備をしてもおかしくありません
そうなると、毎年北海道出張に行く北海道大好きな厩務員達がソワソワしだすので、それを見ると夏が近いことを感じます
北海道出張は函館から札幌までフル参戦すると4ヶ月強もの長丁場です
厩舎によっては毎年ほぼ固定したメンバーで行くところもあり風物詩のようなものです
自分も何回か行ったことありますが確かに涼しくて食べ物も美味しい魅惑の大地ですね
調教で凄いって思ったジョッキー
リーディング上位のジョッキーはやっぱり、とんでもなく上手いです。特にレジェンド級のジョッキーは感性も鋭くて勉強になります
その中で私が調教で併せ馬をしたジョッキーで凄いと思ったジョッキーは現役時代の四位騎手です
四位騎手は初めて乗った新馬を少しウォーミングアップで乗っただけでその馬の特徴を掴んで手の内に入れてしまう達人でした。私が先導して追い切りのラップを刻んで行くのですが、かなりズブい馬なのに離れて追走しながら直線ではスッと並んで無理はさせないけれど気は抜かせない微妙なサジ加減で馬を追って綺麗な追い切りをしてくれました。
昔のことですが隣で見ながらいつもこんな風に馬を動かしたいって目標になりました
今は調教師になられましたがあれだけ馬を操れる人なのでやはりかなり仕上げが上手い厩舎です
敵にはなりますがどんな風に馬を調教しているのか、参考にさせてもらっています
G 1のパドック
今までに回数は少ないですがG 1レースに出走したことがあります
一言で言うとパドックの雰囲気が他のレースとは全く違いました
初めてG 1に出走する時は、パドックを思いっきり楽しんで来ようと考えていましたが、いざ入場すると凄いファンの数とオーナー関係者に驚きましたし。
それぞれの馬を見る目が他のレースとは違って、圧倒的な雰囲気を感じました。悪く言えば呑まれたのかもしれませんがこの環境で自分の担当馬を引いて歩けたことが誇らしく思えてことを覚えています
それからは他のレースでは、お客さんやオーナー関係者を見ながら楽しみながらパドックを引いて、G 1では見られることを意識して胸を張って引くようにしています
なかなかG 1に出走することは難しいですがいつかまたチャンスがあればと精進しています
ジョッキーと調教助手はどう違うの?
ほとんどの場合ですが、普段の馬の調教はジョッキーが乗ることはあまりありません
理由はシンプルにジョッキーの数が調教助手に比べて少ないからと、調教助手で充分に調教ができるからです
この調教をする両者の違いについて、基本的にはジョッキーの方が技量に優れています。ただ調教助手でも元ジョッキーの方も多いですし、ジョッキーが目を見張るほどの腕前を持った人もいます。調教助手は全体的なレベルのバラつきがありますので一律にとは言いませんが相対的にジョッキーの方が技量に優れています
よくジョッキーは馬を動かすのが仕事、調教助手は馬を抑えるのが仕事と言いますので、馬にとってそれぞれ能動的に走るのか主動的に走るのかの違いが出ます
個人的な意見ですが普段の調教は調教助手で馬が自ら走り、追い切りや強い調教にはジョッキーが馬を動かすというのがバランスが取れた調教だと思います
ただ、ジョッキーでも調教助手でも上手い人はどちらの様にも乗ることができますし、結論、乗るのが上手けりゃいいってことになってしまいますね
定年後にしたいこと
厩務員にも定年があります
65才で定年退職となりますが、一応、60才から希望者は早期退職することがてぎます
自分もいい年齢なのでもう定年が見えて来ましたがどうなるでしょう
健康で身体が満足に動くなら定年いっぱいまで働きたいですので、今のうちからトレーニング等して気をつけなければなりませんね
定年後もヘルパーと言って、ケガなどで一時的に欠員が出た厩舎に臨時で働らくこともできます。トレセンはケガ人が多くてヘルパーの慢性的な不足なので希望すれば常に働き口はありそうです
結局、定年後もしたいことって仕事になってしまうのかなって思うと寂しい気もしますね😩
もう馬から逃られない人生です
こんなに打ち込める仕事に出会えたことは幸せなのかもしれません
将来の為にちょっとジムにでも通ってトレーニングしてみようかと思います!ただお酒はやめられないのは困ったことですが😅
ささやかなファンサービス
いつも競馬ではパドックは見られる側ですが、意外にも厩務員もパドックにいるお客さんを見ています
特にカメラを向けて写真を撮ろうとしている人には顔を少しそちらに向けてカメラ目線になるようにしています
もちろんうるさい馬で余裕がなければそれはできませんがなるべくそうしています
いちおう、厩務員は気付かないフリをしていますので横目でチラ見しながら顔を向けてますので目線がズレることもありますのでご容赦ください😅
1周回ってきても撮ってる人はよっぽど気に入ってくれたのか上手く撮れてなかったのか考えたり、自分のを撮ってると思ったら後ろの馬でちょっとがっかりしたり色々と見ています
せっかく競馬場に来てくれたのでいい写真を撮って欲しいし、自分の担当馬を撮ってもらえるのは素直に嬉しいですからささやかながらファンサービスさせてもらっています
乳酸は疲労物質?
昔は、乳酸は疲労物質だから調教後やレース後にとにかく乳酸を解消させようとしてました
その為にクールダウンを長くしたり速く歩かす等色んな工夫しながらやってきました
ところが科学的な解明が進んだ現在は乳酸は疲労物質というより寧ろエネルギー源だとわかってきました
つまり、今まで馬の為に良かれと思ってしてきたことが実は逆効果だったかもしれないということになります
実際には、夏頃の暑い時期はクールダウンはあまり歩かせずにひたすらに冷水を掛けて馬体を冷やすという方法が今は主流です
この方法だと乳酸は解消されませんが馬体のコンディションは良好です
昔からの経験はもちろん大事なことですが、より良い馬のコンディションの為にに新しい知識や科学を取り入れ活かすことはホースマンにとって必須のことです
しっかりと勉強もして常に馬にとってより良い厩務員であり続けたいです